2005年03月19日

△自分を表現する▽

自分を表現するのというのは難しいことだ。自分は一体どんな人間なのか?色々な人間を見て、人間というものを考え抜いた経験がなければ、自分を特徴付けることなんてできる訳がない。しかもそれを文章で書き表す、なおかつ英語で表現するとなると至難の業である。しかしこれをためらっては米国では通用しないし、国際社会で信用を作ることもできないのが現実である。留学試験としてのエッセイ(論文)は、僕にとってそういう初めての経験だった。

「謙虚」という言葉が好きである。成功してもうぬぼれることなく、常に課題を模索する。ほめられても、自分の力でできたとは思わず、周囲の人のお陰だと思う。男女を問わず僕はそういう人に強く惹かれる。お前もそうあれと育てられてきた。謙虚さは人間として一つの大きな美徳であることは間違いない。国際的に比較しても、これは伝統的に日本人が持つ美徳である。

逆に、自分は正当に評価されていないと不平を言い、自らの欠点を隠して人の長所まで自分のものとしてしまう人間も少なからずいる。相手の理解を得るために、主張することは主張し、闘うところは闘うのはいい。しかしそれを他人がどう評価するかについては謙虚でありたいものだ。

さて問題のエッセイである。どんな命題なのか、その例をいくつか披露しよう:
◆あなたのこれまでを振り返り、あなたの今の境遇にあなたを導くことになった「決断」について論ぜよ。また、違った決断をすべきであったのかどうかについても説明せよ。

◆あなたは現在の仕事のどういうところが好きで、どういうところが嫌いか?明日もしあなたが上司の地位に昇格したとしたら、部下の不満(もしあるならば)をどのように解決するか、前の上司と比べてどういう違った対応をするか?

◆あなたがこれまでに経験した倫理的なジレンマについて述べよ。そしてどのようにその状況に対処したのかを論ぜよ。

◆あなたの社会人としての中長期の目標(プロフェッショナルゴール)は何か?またあなたの経歴において、なぜこの時期にMBAが必要なのか、目標に対してMBAがどのように役に立つと考えているのか、何をこのプログラムに求めているのか、そして何故我が校なのかを論ぜよ。

◆あなた自身について言い足りないこと、これまで表現し切れなかったことを述べよ。

ざっとこんな内容である。各命題に何文字以内と制限がついている。仕上がりは全部でA4で8〜10ページ程度。この空間に思いを全て凝縮しぶつける。最後の勝負どころだ。
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洗濯ものを取り込んで整理したあと、僕はPCに向かった。
ここでは「謙虚さ」というものは少し引っ込めなければならないらしい。
ずうずうしく自分をアピールするのは性に合わないが、しょうがない。
明確な表現でドラマティックに言い切るんだ・・・。
夜食はラーメンをやめてスパゲッティーにした。

入社以来手がけたプロジェクトの数々・・・
これを全て思い返して整理する作業。自分の功績に意義付けする作業。
そしてそれらに一貫する何かを縦糸で通す作業。
適切な英語を探し出し、最もアピールする言い回しを考える。

辞書を引く手つきは素早く、英文を追う目の動きも機敏だ。
ビタミンAとDHAが今ごろになって効いてきている(おそいよ)

深夜、そっと病院に見舞いに行く。
だいぶ症状は落ち着いている。
「論文、頑張ってね・・・・」
「うん、でもこんな大変だと思わなかったよ。」
「・・・できるわよ、あなたなら・・・」
「・・・・・」
「家事もやらなきゃいけなくなって・・・ゴメンネ。」
「へへ、家事は合格する自信ついたんだけど・・・留学の方は点数が低いから不安なんだ。」

家に帰って子供の寝顔を見る。
何事もなかったようにスヤスヤ眠ってる。
「パパ、頑張るからね・・・みんなのためにも・・・」

再度PCに向かう。今まで書いた英文を読み直し、目を閉じる。
やはりまだ表現が甘い。婉曲すぎる。中途半端な自分に見えない鞭を打つ。もっと明確に、もっと力強く!第一段落が勝負だ。ここで読み手を惹きつけられねば負ける。

いや負けてたまるか。中身は負けない。とんかつソース並に濃いはずだ。
ビジネススクールよ待っていろ。とんかつを一気に食わせるような文章を書いてみせる!
ニックネーム りっち(BBキッズネットワーク主宰者) at 16:45| Comment(0) | TrackBack(0) | MBA留学受験記
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